2009年3月23日月曜日

口羽氏 その2 西蓮寺(島根県邑南町阿須那)

浄土真宗本願寺派
 法僧可意山 西蓮寺

◆探訪日  2007年4月2日及び3,4回
●所在地   島根県邑南町阿須那1978

解説(現地由緒より)

“永禄3年(1560)、下口羽の琵琶甲城主(初代)口羽下野守通良が創建。
真言宗 観世音院 西蓮寺と号した。

 天正4年(1576)石山合戦の最中、口羽通良は、毛利氏の大将としてよく奮戦して、織田水軍を破り、石山本願寺へ数百艘の船をもって兵糧武器等を送り届けた。
 浄土真宗11世宗主・顕如上人の御感あさからず、その縁あって通良は、以来顕如宗主に深く帰依して、翌年、元可(三男)へ泉秀と法名を賜り、この寺の住職とした。

 爾来、浄土真宗に改宗、寺領の寄進も受け、江戸時代には浜田藩の菩提寺、徳川家の位牌所の一つにもなり、石見、安芸、備後に多くの門徒を持っている。


楼門(山門)
      村指定有形文化財第2号(平成元年3月)

 弘化3年(1846)起工、嘉永元年(1848)上棟。棟梁は、旭町「和田の匠」と呼ばれた名工・長山喜一郎で、その傑作として「石見三門」の一つにあげられている。

 桁行8.3m、梁行4.4m、棟高11m、瓦葺2階建て、入母屋造り。

 一切金釘を使用せず、扉や庇、上欄等一部未完成の部分もあるが、素木の総檜造りである。階下に6頭の竜、4対の獅子、鶴と雲が12、花に極楽鳥、正面に雲竜、階上には竜、獅子、鶴等、華麗な彫刻で飾れている。

その他、経蔵(輪蔵)(村指定有形文化財)、タラヨウ一株(多羅葉)(村指定天然記念物)などがある。
【写真 上3枚】西蓮寺の山門








 石見三門は、この「西蓮寺」と、同じ名工・長山(豊原)喜一郎作による邑南町市木の「浄泉寺」、及び浜田市旭町木田の「正蓮寺」である。

 石見の寺院はこの石見三門に代表されるように、建築美学的にも非常に手の込んだものが多く、特に彫刻と、瓦敷(屋根)には圧倒されることが多い。
【写真左】山門の彫刻
 こういうのを見ると、大工を通り越して、完全な彫刻家・芸術家の作品である。









【写真左】西蓮寺境内












 西蓮寺は、前稿の「琵琶甲城」から出羽川を少しさかのぼり、羽須美の町部から東の山の方へ登ったところにある。周辺には10軒程度の民家が棚田を取り囲むように点在している。

 初めて訪れた時、出羽川沿いの町部からかなり標高の高い山間部に向かったため、この先に民家があること自体にびっくりしたものである。

 現在住んでおられる方々も、口羽氏宗家は関ヶ原合戦の後、萩に移封されているが、当時の家臣の何人かはこの地に残った末裔かも知れない。

0 件のコメント:

コメントを投稿